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2009年1月28日水曜日

第61回講演会

日付:2009年2月7日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:イタリアとイタリア人-その感性と生活-
講師:横井 弦一郎 氏
プロフィール:横井 弦一郎 氏(歴史文化交流フォーラム会員)
 東洋レーヨン(現東レ株式会社)に入社し、'74年からミラノ駐在、'76年人工スェード製造販売会社ALCANTARA SpA取締役、ヨーロッパ・マーケティング チャネル構築・整備、パリ・ミラノファッション業界参入をイタリア人社員と共に実現。欧州事務所勤務を経て'81年帰国。'01年東レヨーロッパ社長・欧州商事統括、'04年帰国し、東レインターナショナル(株)監査役。
 ヨーロッパ在勤 ミラノ5年・ロンドン5年半、通算10年半。
要旨:自由で伸び伸びとしているが一見秩序のない社会と映る国イタリアとイタリア人達、しかしながらその「加減の良さ」について、彼らとの生活にどっぷり浸かって経験し目を開かされた事など、イタリア流の「食べ・歌い・愛し合い」生きることを五感全開で喜び心底楽しむ人々の生活とそれを育んできた文化的背景などについて話したいと思います。お話しすることは特に学究的なことではなく、一個の企業人が彼の地で生活し彼らと一緒に仕事をすることによって体験したことを日常的視点から皆様方にお伝えし、イタリア的生き方の一端に触れて頂ければ幸いと思う次第です。

フォーラム事務局より

 徐々に日照時間が延び、光のまばゆさに早春の歩みが感じられるようになってきました。「流れくる明るさに向かって両腕を広げよう」とはゲーテの詩句ですが、暗いニュースの多いこの冬を抜けて新しい季節の到来が待ち遠しいこのごろです。
 今年初めての講演会では、珍しい「ザグレブ派」のアニメ映像を鑑賞しながらユーゴスラヴィアの庶民の歴史をたどりました。また、講演者がプロデュースされた作品「ストヤン~境界の英雄」を通して、クロアティア地域の多層的な歴史が育んだ英雄像について語っていただきました。
 次回の講演会のテーマは、当フォーラムでは取り上げられる機会のなかったイタリアです。どうぞ奮ってご参加ください。

2009年1月7日水曜日

第60回講演会

日付:2009年1月10日(土)
時間:15:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:クロアティアの歴史とアニメーション~クロアティアの人々の心性とザグレブ派アニメーション
講師:越村 勲 氏
プロフィール:越村 勲 氏(東京造形大学教授)
1953年富山県生まれ。ザグレブ大学大学院修士・一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。91年より東京造形大学教員。専攻はクロアティアなど東欧の社会や思想・運動の歴史。文化や文明が混交する地域での多文化共生や、アニメーションなどの表象文化と社会史の関係を研究テーマとしている。著書・訳書:R・オーキー『東欧近代史』(勁草書房87年)『東南欧農民運動史の研究』(多賀出版90年)『バルカンの大家族ザドルガ』(彩流社94年)、D・ロクサンディチ『クロアティア=セルビア社会史断章』(彩流社99年)S・ノヴァコヴィチ『セロ--中世セルビアの村と家』(刀水書房03年)『映画「アンダーグラウンド」を観ましたか』(彩流社04年)共著、新世界地理第10巻『ヨーロッパⅣ-東ヨーロッパ・ロシア』(朝倉書店06年)他。
要旨:クロアティア(Croatia、ラテン語)はヨーロッパ南東の一つの地域、旧ユーゴスラヴィアから独立した小さな国の名前です。国土は九州の一・五倍ぐらいしかありません。人口もわずか四四〇万(大半のクロアティア人と一部のセルビア人でどちらも南スラヴ人)です。しかし、「ヨーロッパ」と「アジア」の境界にあって、中身の濃い歴史をもっています。
 そのクロアティアについて私は、社会史といわれる比較的新しい歴史の描き方を試みています。社会史というのは、「下から」つまり普通の人々の日常生活やそこで作られる精神世界、いわゆるミクロな世界を綿密に描こうとする傾向が強いのですが、ただ私はミクロだけを見ていれば良いとも思いません。ミクロな世界からいかにして人々の世界的なつながりに近づくか、それこそが大事だと思っています。
 その社会史の方法として、心性つまり人々の思考様式や感覚を、文献以外の図像なども使って研究しようとする方法があります。そして私は文献以外の資料としてアニメーションを取り上げたいと考えています。というのも、クロアティアの歴史を研究する中で、ザグレブ派と呼ばれるアニメーションにクロアティアの人々の心性が良く現れていると思うからです。そして歴史的には近世民衆詩の英雄、現代的にはこのアニメーションの主人公がクロアティアの心性を分析する最良の材料ではないかと考えています。
 以上から今回の第一部では、ザグレブ・フィルム社の作品にそってクロアティアのアニメーション史を概観し、一人のアニメーション作家を中心にクロアティア・アニメーションの成り立ちや、思考様式・感覚(ユーモア像や主人公像を中心に)を描き出したいと思います。そして第二部では、二つの映像作品を取り上げて、クロアティアの人々の集合的な歴史認識や英雄像を見て行きます。最後の作品は最近私が指揮し、卒業生が制作したドキュメンタリー・アニメーション映像です。

フォーラム事務局より

 明けましておめでとうございます。2009年の新春を皆さまはどのようにお迎えになりましたでしょうか。昨秋来のアメリカ発金融不安が実体経済に波及し、世界中で人びとの暮らしに逆風が吹き荒れていますが、こんなときこそ社会や生活の意味をじっくりと考える好機かもしれません。混沌に気圧されない、堅固な日々を皆さまにお祈り申し上げます。
 2008年12月の講演会では、インドネシアの更紗バティックを通して、入り組んだ民族、宗教、政治が織り成す国の歴史を解説していただきました。2009年幕開けの講演会のテーマは、アニメを通してみるクロアティアの歴史です。どうぞ奮ってご参加ください。