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2010年7月21日水曜日

事務局より

 前回の講演会では、成瀬巳喜男監督による『あらくれ』と『放浪記』の映像を手がかりに、女性を主人公とした同作品が、男性の物語として特権化されてきた「放浪」の意味をいかにずらし、転倒しているのかを鋭く分析していただきました。昭和の懐かしい文芸映画に新たな光を当てていただき、まさに「目から鱗」の思いでした。また、講演終了後は、ジェンダー論の可能性をめぐって議論が盛り上がりました。
 8月は月例講演会はお休みをいただきます。次回の講演会は9月25日に予定しております。
 
 梅雨明け早々、日本列島全域が強烈な夏の陽光にさらされ、陽炎の立つような熱波にあえいでおります。皆さまにおかれましては、どうぞ夏の涼を求め味わいながらご自愛ください。

2010年7月2日金曜日

第74回講演会

日付:2010年7月3日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「放浪に男女の差はあるか」
講師プロフィール:
 藤瀬 恭子 氏(諏訪東京理科大学嘱託教授)
 1944年富山市生まれ。明治大学文学部英米文学科卒、同大大学院修士課程修了。明大非常勤講師等を経て、1990年新設の東京理科大諏訪短大講師、97年教授。2001年改組転換により諏訪東京理科大学共通教育センター教授。2010年3月定年退職。英語諸科目と「物語の力―映画と文学」を教えている。専門:シェイクスピアとエリザベス朝演劇を専門としていたがこの10年余、英語圏文学と日本近代文学を比較、カルチュラルスタディーズ的に映画を取りこんでジェンダー研究を展開。モダニズム詩人H・D研究を継続。08年より長野県茅野市男女共同参画講座・「女たち家族について考える会」を年6回開催。成瀬巳喜男映画をテキストとして昭和期の日本の家族制度と女たちの生き方について、社会人、研究者らとともに学習、討論を重ねている。 著訳書『男女両性具有I,II』『娘の心が傷つく時』(人文書院)『フロイトと人間の魂』(法政大学出版局)『ルネサンスの魔術師』(晶文社)共著『山姥たちの物語』(学芸書林)他。
 要旨:
 成瀬巳喜男・女たちの定住と放浪  
 成瀬巳喜男の映画は戦前戦中戦後日本の家族、嫁姑、親子、結婚、夫婦、金銭、職業をめぐってのジェンダー差が、50年の時間を隔てた遠近法の中で観察できるタイムカプセルです。『娘・妻・母』『稲妻』『おかあさん』『女の座』『鰯雲』『めし』『驟雨』では定住する女たち、『女が階段を上がる時』『流れる』では花柳界の女たち、『放浪記』『あらくれ』『浮雲』では放浪する女たちが描かれています。林芙美子原作『放浪記』『浮雲』、それに徳田秋声原作『あらくれ』に焦点を当て、女たちの定住と放浪について、映像を参照しながら語りたいと思います。

事務局より

 梅雨たけなわ、街も水底にあるようにけぶって見える今日この頃です。水底から輝く夏空にむけて、早く、そして元気に浮かび上がりたいものです。
 さて、前回の講演会は、インターネットの歴史と現在をめぐるお話しでした。日ごろ耳にしていながら正確な内容を知らずにいるカタカナ語の説明に始まり、手元のパソコンがどのような経路を経て任意のホームページにたどり着くのかなど、その場で実験をしながら興味深くお話しいただきました。
 次回は、成瀬巳喜男監督の映画を通して、女性の放浪について語っていただきます。