本サイトはフォーラムのブログになります。
フォーラムのホーム・ページ(リニューアル!)こちら http://www.npo-if.jp/

2009年12月22日火曜日

フォーラム事務局より

 冬至を迎え、本格的な冬の最中です。でも、冬至は古代ローマでは太陽神の聖誕祭でもありました。これからは、春に向かって少しずつ日照時間が伸び、日の光が力を取り戻していきます。訪れる新春を夢見つつ、楽しい年末を過ごしたいものです。

 2009年も「バルカンの日本文化週間」をはじめ、皆さまにはひとかたならぬご配慮、ご支援をいただきました。ありがとうございました。皆さまが、お健やかなよいお年をお迎えくださるよう、心からお祈り申し上げます。

第69回講演会

日付:2009年1月16日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「旅とバレエ」(秋山幸範氏)
    「11世紀に北米で起きた世界史的出来事とは、何か」(砂山清氏)
講師プロフィール:
秋山幸範 氏(歴史文化交流フォーラム会員) 
 大学で電気工学を専攻し、卒業後、大手電機メーカーで、コンピュータ関連のハードウェア、ソフトウェアの開発と、それらの製品計画、事業計画を担当。定年後は、学校や会社時代にあまり親しんでこなかった歴史、文化、芸術、海外旅行などに強い興味を感じて、 趣味としてそれらを色々楽しんでいる。

砂山清 氏(歴史文化交流フォーラム会員)
 11941年東京生まれ、双子座、AB型。東大文学部西洋史学科卒。 朝日新聞記者。広島、京都、大阪、札幌勤務を経て、東京本社学芸部デスク、週刊誌「AERA」創刊時の副編集長、テレ朝「キッズ・ニュース」メインキャスターなどを勤める。2001年定年退職。また、その間に月刊誌「婦人の友」に映画エッセイ連載。 2001年以降は、欧米中心に世界約65カ国に短期留学と旅をする。何の専門家でもない。趣味は描画と歌唱。

要旨:
 「旅とバレエ」
 3年半ほど前の海外旅行で友人になったあるご夫妻との出会いが最初の発端となって、その後、「バレエ」の魅力に嵌ってしまう。現在は、主要な趣味の一つ。 話の概要は、「私の旅とバレエ」、「バレエの魅力」、「バレエとダンスの相違」、「バレエの歴史」、「著名なバレエ作品」、「著名なコレオグラファー(振付家)」、「バレエの地域個性」、「バレエ史年表」、「バレエ・テクニック」、等。

 「11世紀に北米で起きた世界史的出来事とは、何か」
 11世紀の始めに北米で結成されたイロコイ連邦の、成立過程と組織形態を紹介。それが、その後の世界史に、どんな影響を与えたかを、最近米国で定説になりつつあると言われる文化人類学者ポーラ・アンダーウッドの研究成果(星川淳氏が日本に紹介)などから見る。あわせて、「世界史」とは何かを考えて見る。ついでに、砂山が2008年初夏に米国・カナダで撮った写真を見ながら、北米先住民の文化に遊ぶ。 

2009年12月15日火曜日

フォーラム事務局より

 12月の講演会では、当フォーラム理事長の南塚信吾法政大学教授から、ハンガリー留学時代の研究生活を振り返りつつ、1970年代前半のハンガリー社会の諸相を生き生きと活写いただきました。旧東側の庶民にとって社会主義の暮らしとはどのようなものであったのか、あらためて考える契機をいただいたと思います。
 講演会終了後には、南塚先生の叙勲祝いを催しましたが、師走を迎えてお忙しいなか大勢の皆様においでいただき、楽しく過ごすことができました。ありがとうございました。

2009年11月24日火曜日

第68回講演会

日付:2009年12月5日(土)
時間:16:00~17:30
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「 「ハンガリーとわたし」 」(南塚信吾氏) 
講師プロフィール:
 南塚 信吾 氏(法政大学教授、世界史研究所所長) 富山県出身。専門の東欧史研究の枠を超えて、グローバルな視点で世界の歴史と人々の文化、交流の様相に関心を持つ。ご存知、当フォーラム理事長。近著として、A Social Bandit in Nineteenth Century Hungary: Rozsa Sandor(Columbia University Press, New York, 2008)のほか、2009年8月にはハンガリーでもロージャ・シャーンドルに関する本が出版された。
要旨:
 1972年にはじめてハンガリーに留学して以来、ハンガリーの歴史と社会、人々の暮らしを見つめながら研究を重ねてきた。今回の講演では、わたしとハンガリーのこれまでのかかわりを、留学当時からの写真をお見せしながら振り返ることにしたい。

フォーラム事務局より

 前回11月の講演会では、10月から始まった連続講演会(総合タイトル「旅」)の一環として、「ホテル」と「道」をめぐってお話しいただきました。前半では、開国直後の幕末と明治初期に日本人が西洋式のホテルをいかに受け止め、どのように本邦に移植しようとしたのかを、当時の文書に基づいて詳細に語っていただきました。後半では、統計資料を参考に、日本の道路事情について県単位の比較、さらには国際比較をしながらご説明いただきました。東名高速や滑走路建設を事例にとったアスファルト、コンクリート等の技術的解説映像も興味深いものでした。 
 次回は、本NPOの理事長である南塚信吾氏が、ハンガリー政府から長年の研究功績にたいして勲章を授与されたことを記念し、特別講演会を催します。

フォーラム事務局より

 またうれしいお知らせです。当フォーラム理事長の南塚信吾法政大学教授が、長年の研究功績を称えられて、ハンガリー政府から十字勲章(Officer’s Cross Order of Merit of The Republic Hungary)を授与されました。この夏にはハンガリーで、先生のご著書《Rózsa Sándor. Betyár vagy bandita?》も出版されています。先生の叙勲を励みに、グローバル化の波のなかで浮き沈みする各地の歴史と文化を見据えてまいりたいと思います。

2009年11月10日火曜日

第67回講演会

日付:2009年11月14日(土)時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「道」(橋爪啓二氏)   
    「幕末から明治初期の本邦ホテル事情」(黒田忠男氏)
 
講師プロフィール:
橋爪 啓二 氏 1941年富山県生まれ、1964年日本道路株式会社入社、2002年同社退社、歴史文化交流フォーラム副理事長。
 
黒田 忠男 氏 1941年生まれ、67歳。1965年大学卒業後、株式会社三菱銀行に入社、国内営業部門を歩む。1994年同社を退職。その後2社に勤務後、現在ビジネスホテルを運営する会社に在籍。

要旨:
「道」 
 東名高速道路の建設を事例に、道路が作られる工程を紹介するほか、日本の各都道府県の道路事情を紹介し、さらに世界各国のそれとデータをもとに比較検証してみたい。

「幕末から明治初期の本邦ホテル事情」 
 幕末の開国以来、多くの日本人が欧米先進国に雄飛した。 渡航者はそこで初めて目にしたホテルをどういう思いで見、何を感じたのか。さらに日本人が始めて造ったホテルはいつ、いかなる経緯で造られ、どんな建物だったのか。 当時の文献を調べ、日本のホテルの原点を探ってみたい。

2009年10月25日日曜日

フォーラム事務局より

 「旅」を統一テーマに、複数の講演者にお話しいただく講演会が10月から始まりました。第1回目は、鉄道の旅およびガラスから見たシルクロードの歴史という、扱う地域も時代も異にするふたつの講演が行われました。提示された視点や情報の新鮮さもさることながら、なによりも対象に注ぐ情熱が伝わってきて、講演者の人生の旅を垣間見せていただいたような充実したひと時でした。また、講演会終了後には、フォーラムが8月後半に催した「バルカンの日本文化週間」の報告会を開き、期せずしてもうひとつの「旅」を紹介させていただく形になりました。

フォーラム事務局より

 「文化の秋」にうれしい便りが届きました。ベオグラード大学で教鞭をとられる山崎洋先生が、『古事記』のセルビア語への翻訳で「日本翻訳者協会特別賞」を受賞されました。先生にはこれまで当フォーラムで何度か講演をお願いしていますが、さらにこの夏の「バルカンの日本文化週間」では、ニェゴシュの翻訳をめぐる講演のほか、文化週間全般に渡って通訳をしていただきました。先生の見事な通訳が文化週間を成功に導いてくれたといっても過言ではありません。その直後の受賞であるだけに、フォーラム内の喜びもひとしおです。心からお祝いを申し上げる次第です。

2009年9月29日火曜日

第66回講演会

日付:2009年10月3日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「旅と鉄道-欧米個人旅」(東誠氏)
   「シルクロードとガラス-東西交流・交易の歴史を旅する-」(三橋由美子氏) 
講師プロフィール:
東 誠 氏 1941年生まれ、68歳
1965年大学卒業後、東レ㈱入社、主に経理・管理分野を歩む。
1975~79年、ケニア、香港の合弁会社勤務。1999年東レ㈱退社後、
日東光器㈱を経て、現在、㈱アールケイ監査役

三橋 由美子 氏
津田塾大学国際関係学科卒業
財団法人 明治安田厚生事業団勤務
趣味は登山、バスケット、マラソン、旅行、絵画鑑賞、映画鑑賞

要旨:
「旅と鉄道」
英国(2002年10月)、オーストリア(2004年9月)、米国(2006年11月)、フランス(2009年6月)を鉄道で旅行した体験を話し、その中で鉄道旅行のノウハウやエピソードに触れてみたい。

1.旅の楽しみ:①非日常性の経験 ②計画→準備→実行→フォローアップ③(鉄道だと)景色や人々の様子が
よく分かる。④人との触れ合いがある。⑤音楽・美術等の文化との出会い。

2.乗る楽しみ: ①乗っていることが楽しい。②外の景色を堪能できる。③写真、ビデオ撮影が出来る。
         ④その国の鉄道事情が分かる。

「シルクロードとガラス」
 10年ほど前にチェコを旅行したとき、街角の小さなガラス博物館で、館員のおじさんがとても親切にガラスの成り立ちを教えてくださいました。そのとき見たガラスが、なぜか日本の博物館でみたものと似ていて不思議な感慨を憶えたものです。今回は、この想いを発展させる良い機会となりました。東西交流の歴史が甦るかどうかわかりませんが、ふらふらとシルクロードを、ガラスのルーツをさぐりながら旅してみたいと思っています。

フォーラム事務局より

 やや天候不順だった夏も過ぎ去り、虫の集く音、日毎に早くなる日没が深まる秋を感じさせます。夏バテの時期でもあります。皆さま、どうぞ体調を整えて、秋の自然と文化をお楽しみください。
 さて、皆さまにご協力いただいた「バルカンの日本文化週間」も、セルビアのピロト市、ブルガリアのビャーラチェルクヴァ町双方で地元の方々の好評裏に終えることができました。あらためて御礼申し上げます。
 10月からは月例講演会も再開させていただきますので、こちらもよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

2009年7月29日水曜日

フォーラム事務局より

 7月の講演会は8月下旬に行われる「バルカンの日本文化週間」の準備会をかねて、セルビアの現況、文化、歴史について幅広い視野からお話しいただきました。東西冷戦終結後に起こった一連の紛争のおかげで、とかく偏りがちなセルビアのイメージをただし、多くの生き生きとした情報が得られる機会を提供いただきました。
 8月、9月の講演会はお休みさせていただきます。次回講演会は10月3日(土)の開催を予定しています。「旅」をテーマに複数の講演者にお話しいただく予定です。
 この夏は荒れた天候が続いております。体調はもとより自然災害にも十分にお気をつけて、充実した夏をお過ごしください。

2009年7月15日水曜日

第65回公演会

日付:2009年7月25日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「もっと知りたいセルビア」—2009年ピロト「日本文化週間」を控えた「基礎」編 
講師:鈴木 健太 氏
プロフィール:鈴木 健太 氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
 名古屋市出身。専門は主にユーゴスラヴィアおよびセルビアの現代史。現在は所属の大学院で、旧ユーゴスラヴィア解体期のセルビア社会におけるナショナリズムに関する研究に取り組む。2006年10月から今年3月までの二年半、セルビアのベオグラード大学に政府奨学生として留学。
要旨:1990年代の旧ユーゴスラヴィア内戦、NATO空爆、コソヴォ問題・・・。セルビアという国が話題に上るときに登場するのは、たいていがこのような戦争や民族問題に纏わる話で、危険で物騒といったイメージさえも存在する。二の次にされがちな基礎的な情報(地理、歴史、文化、メンタリティなど)を押さえながら、都市と農村、生活、食べ物、民衆の姿にまで切り込んで、この国の等身大の実像をみていきたい。(映像資料も紹介)

フォーラム事務局より

 6月の講演会では、3名の講演者に「1880年代の世界と日本」をテーマに、世界と密接に繋がっていた日本の生糸、バルカン南部の図書室とネーションの形成、鹿鳴館と近代日本文化(欧化)の問題についてお話しいただきました。今後も、定期的に、一定のテーマをめぐって複数の方からご報告いただく講演会を開催する予定です。講演終了後に聴衆の皆さまを交えて討論し、その皮切りとして「旅」をめぐる講演会を10月に行うことが決定いたしました。鉄道・道路・ホテル・パスポート等々、フォーラム会員の有志が、それぞれのお得意の分野で「旅」に関わるお話をしてくださいます。乞、ご期待!

2009年5月29日金曜日

第64回講演会

日付:2009年6月6日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:統一テーマ「1880年代の世界と日本」 
講師:南塚信吾氏、木村真氏、木村英明氏
要旨:南塚信吾氏「自由民権運動の時代と世界:生糸の繋ぐ世界」(仮題)
   * 1884年に本庄市近郊で起こった群馬事件、秩父事件をはじめとする自由民権の気運の 高まりを、「絹の世界」との関連からとらえ直してみる。
   木村真「図書室とバルカンの1880年代」(仮題)
   * 19世紀のバルカン南部、現在のブルガリアやギリシア、マケドニアなどの地域では、村落や都市の人々が集い、新聞などを読む公共の施設としての読書室が普及していったが、1880年代のナショナリズムの高まりや国家建設にともなってその性格がどのように変化していったのかを考えてみる。
   木村英明「鹿鳴館の時代:武化から文化へ」(仮題)
   * 1880年に建設がはじまり、83年に竣工した鹿鳴館は、武力による日本の統一から、「文」という道具を動員した国家建設へと向かう日本の象徴であったといえる。この過程においてこうむった、日本人の表現言語や身体表現の変容について見てみたい。

2009年5月7日木曜日

フォーラム事務局より

 黄金週間も過ぎ、これからは仕事や学業の日常が夏休みの声を聞くまで続きます。立夏を迎え、徐々に暑さも増してきますが、どうぞ皆さま、強まる日差しに劣らぬ命の輝きを煌めかせてお過ごしください。
 4月の講演会では、IRAの成立とその歴史的展開に焦点を当てつつ、アイルランドの人と社会についてお話しいただきました。欧州の最貧国のひとつから1990年代以降は「ケルトの虎」と称される発展を遂げ、しかし昨秋以後の世界的経済危機で経済的にも社会的にも曲がり角を迎えた同国の現況までが視野に収められた講演からは、世界史のなかのアイルランドが見えて参りました。
 5月は講演会を休ませていただき、代わって8月に実施される「バルカンの日本文化週間」の準備会を催します。事業の実施に向けて、皆さまのお知恵を拝借したいと存じます。

2009年3月30日月曜日

第63回講演会

日付:2009年4月4日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:グローバリゼーションとアイルランド ―再燃するIRAをどう考えるのかー
講師:崎山 直樹 氏
プロフィール:崎山 直樹 氏(千葉大学大学院人文社会科学研究科特任教員、世界史研究所研究員)
沖縄県出身。1998年3月に千葉大学文学部史学科を卒業。2008年3月に千葉大学大学院社会文化科学研究科にて博士号を取得。主な研究テーマは近代アイルランドにおけるナショナリズム問題、特に1840年の都市法人法の施行とリピール運動の台頭について都市ダブリンおよびキルケニーを対象に研究をおこなっている。
要旨:9・11そして世界的な金融危機のあおりを受ける形で、現在進行形としてヨーロッパの現状は日々悪化の一途をたどっている。この 影響は、90年代以降「EUの優等生」あるいは「ケルトの虎」として、驚異的な経済成長を遂げたアイルランドにおいても 深刻なものとなっている。さらに経済的な問題だけではなく2009年に入り武装解除したはずであったIRAの一部は、武力闘争を再開し、北アイルランド問題が再燃しつつある。本報告ではアイルランド問題を歴史的、世界史的に考え直したい。

2009年3月17日火曜日

フォーラム事務局より

 今日は彼岸の入り。「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉どおり、東京の最高気温が20℃に達しました。つい最近まで寒さに肩をこわばらせていた街行く人びとの動きも、どこかしなやかに見えます。ただ、黄砂とスギ花粉が舞い、苦しめられている人も多いようです。良いことと良くないことは、どんなときにも共にあるということでしょうか。
 3月の講演会では、明治初期の世界史教科書である「万国史」のルーツを探って、講演者が北米ピッツバーグ大学やプリンストン大学の図書館を渉猟した過程がスリリングに語られました。探求はさらに続き、スコットランドやアイルランドへの旅がこれから予定されているようです。いつかまた、その旅の成果をうかがいたいと思います。
 次回4月の講演会はアイルランドがテーマです。どうぞ奮ってご参加ください。

2009年2月27日金曜日

第62回公演会

日付:2009年3月7日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:万国史のルーツを探して
講師:南塚 信吾 氏
プロフィール:南塚 信吾 氏(法政大学教授、世界史研究所所長)
 富山県出身。専門の東欧史研究の枠を超えて、グローバルな視点で世界の歴史と人々の文化、交流の様相に関心を持つ。ご存知、当フォーラム理事長。
 近著に、A Social Bandit in Nineteenth Century Hungary: Rozsa Sandor, Columbia University Press, New York, 2008.
要旨:明治期には「万国史」という名の教科書が文部省の肝いりで数多くつくられた。その大部分は英語の世界史(universal history, general history, history)の翻訳であった。
 では、どういうものが翻訳されたのか。だれが、どのように選んで「輸入」してきたのか。「分からない」。ただ、大部分がアメリカからであった。福沢諭吉なども持ち帰っている。
 では、アメリカでの19世紀前半の世界史はどのような状況にあったのか。それを調べにピッツバーグへ行った。すると、アメリカの歴史記述は当時はまだ遅れていて、そのほとんどはイギリスからの「輸入」であることが分かった。
 では、19世紀初めのイギリスの歴史記述はどうであったのか。それを調べると、イギリスの歴史記述は、当時のドイツの歴史記述を強く意識していることが判明。
 では、ドイツの歴史記述はどうだったのか。ドイツとイギリスの19世紀始めの歴史記述を見ていると、どうも変な歴史書にぶち当たった。それは何か?

フォーラム事務局より

 初夏のような陽気があったかと思うと、小雪の舞う寒さが戻るなど体調管理が難しい今日この頃です。皆さま、どうぞご自愛ください。
 2月の講演会では、イタリアのミラノで現地人スタッフを率いて企業活動を展開された講師のかたから、イタリア人の社会観や人生観の一傾向について、身近な衣食住の習慣から言語や音楽、美術にいたる文化の諸領域にまで踏み込んでお話しいただきました。陽光溢れるラテンの息吹が伝わってくるような楽しいひと時でした。
 3月の講演会では、明治期の世界史教科書「万国史」の源流を求めて米国ピッツバーグの大学図書館で資料収集にあたった講演者が、歴史記述の持ついかなる問題に直面したのかを、貴重な資料を解読しながら語ってくださる予定です。
 

2009年1月28日水曜日

第61回講演会

日付:2009年2月7日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:イタリアとイタリア人-その感性と生活-
講師:横井 弦一郎 氏
プロフィール:横井 弦一郎 氏(歴史文化交流フォーラム会員)
 東洋レーヨン(現東レ株式会社)に入社し、'74年からミラノ駐在、'76年人工スェード製造販売会社ALCANTARA SpA取締役、ヨーロッパ・マーケティング チャネル構築・整備、パリ・ミラノファッション業界参入をイタリア人社員と共に実現。欧州事務所勤務を経て'81年帰国。'01年東レヨーロッパ社長・欧州商事統括、'04年帰国し、東レインターナショナル(株)監査役。
 ヨーロッパ在勤 ミラノ5年・ロンドン5年半、通算10年半。
要旨:自由で伸び伸びとしているが一見秩序のない社会と映る国イタリアとイタリア人達、しかしながらその「加減の良さ」について、彼らとの生活にどっぷり浸かって経験し目を開かされた事など、イタリア流の「食べ・歌い・愛し合い」生きることを五感全開で喜び心底楽しむ人々の生活とそれを育んできた文化的背景などについて話したいと思います。お話しすることは特に学究的なことではなく、一個の企業人が彼の地で生活し彼らと一緒に仕事をすることによって体験したことを日常的視点から皆様方にお伝えし、イタリア的生き方の一端に触れて頂ければ幸いと思う次第です。

フォーラム事務局より

 徐々に日照時間が延び、光のまばゆさに早春の歩みが感じられるようになってきました。「流れくる明るさに向かって両腕を広げよう」とはゲーテの詩句ですが、暗いニュースの多いこの冬を抜けて新しい季節の到来が待ち遠しいこのごろです。
 今年初めての講演会では、珍しい「ザグレブ派」のアニメ映像を鑑賞しながらユーゴスラヴィアの庶民の歴史をたどりました。また、講演者がプロデュースされた作品「ストヤン~境界の英雄」を通して、クロアティア地域の多層的な歴史が育んだ英雄像について語っていただきました。
 次回の講演会のテーマは、当フォーラムでは取り上げられる機会のなかったイタリアです。どうぞ奮ってご参加ください。

2009年1月7日水曜日

第60回講演会

日付:2009年1月10日(土)
時間:15:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:クロアティアの歴史とアニメーション~クロアティアの人々の心性とザグレブ派アニメーション
講師:越村 勲 氏
プロフィール:越村 勲 氏(東京造形大学教授)
1953年富山県生まれ。ザグレブ大学大学院修士・一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。91年より東京造形大学教員。専攻はクロアティアなど東欧の社会や思想・運動の歴史。文化や文明が混交する地域での多文化共生や、アニメーションなどの表象文化と社会史の関係を研究テーマとしている。著書・訳書:R・オーキー『東欧近代史』(勁草書房87年)『東南欧農民運動史の研究』(多賀出版90年)『バルカンの大家族ザドルガ』(彩流社94年)、D・ロクサンディチ『クロアティア=セルビア社会史断章』(彩流社99年)S・ノヴァコヴィチ『セロ--中世セルビアの村と家』(刀水書房03年)『映画「アンダーグラウンド」を観ましたか』(彩流社04年)共著、新世界地理第10巻『ヨーロッパⅣ-東ヨーロッパ・ロシア』(朝倉書店06年)他。
要旨:クロアティア(Croatia、ラテン語)はヨーロッパ南東の一つの地域、旧ユーゴスラヴィアから独立した小さな国の名前です。国土は九州の一・五倍ぐらいしかありません。人口もわずか四四〇万(大半のクロアティア人と一部のセルビア人でどちらも南スラヴ人)です。しかし、「ヨーロッパ」と「アジア」の境界にあって、中身の濃い歴史をもっています。
 そのクロアティアについて私は、社会史といわれる比較的新しい歴史の描き方を試みています。社会史というのは、「下から」つまり普通の人々の日常生活やそこで作られる精神世界、いわゆるミクロな世界を綿密に描こうとする傾向が強いのですが、ただ私はミクロだけを見ていれば良いとも思いません。ミクロな世界からいかにして人々の世界的なつながりに近づくか、それこそが大事だと思っています。
 その社会史の方法として、心性つまり人々の思考様式や感覚を、文献以外の図像なども使って研究しようとする方法があります。そして私は文献以外の資料としてアニメーションを取り上げたいと考えています。というのも、クロアティアの歴史を研究する中で、ザグレブ派と呼ばれるアニメーションにクロアティアの人々の心性が良く現れていると思うからです。そして歴史的には近世民衆詩の英雄、現代的にはこのアニメーションの主人公がクロアティアの心性を分析する最良の材料ではないかと考えています。
 以上から今回の第一部では、ザグレブ・フィルム社の作品にそってクロアティアのアニメーション史を概観し、一人のアニメーション作家を中心にクロアティア・アニメーションの成り立ちや、思考様式・感覚(ユーモア像や主人公像を中心に)を描き出したいと思います。そして第二部では、二つの映像作品を取り上げて、クロアティアの人々の集合的な歴史認識や英雄像を見て行きます。最後の作品は最近私が指揮し、卒業生が制作したドキュメンタリー・アニメーション映像です。

フォーラム事務局より

 明けましておめでとうございます。2009年の新春を皆さまはどのようにお迎えになりましたでしょうか。昨秋来のアメリカ発金融不安が実体経済に波及し、世界中で人びとの暮らしに逆風が吹き荒れていますが、こんなときこそ社会や生活の意味をじっくりと考える好機かもしれません。混沌に気圧されない、堅固な日々を皆さまにお祈り申し上げます。
 2008年12月の講演会では、インドネシアの更紗バティックを通して、入り組んだ民族、宗教、政治が織り成す国の歴史を解説していただきました。2009年幕開けの講演会のテーマは、アニメを通してみるクロアティアの歴史です。どうぞ奮ってご参加ください。