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2010年12月27日月曜日

第79回講演会

日付: 2011年1月15日(土)
時間: 16:00~18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階
内容: 「地域コミュニティとアート ーチェンマイ・ドイサケットでのアートプロジェクトを例にー」
講 師プロフィール: 稲垣 立男 氏(アーティスト、法政大学国際文化学部教授) 
 1962年生まれ。これまでに日本をはじめ、メキシコ、トルコ、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリアなどで地域コミュニティと共同のプロジェクトを行っている。2009年には越後妻有アートトリエンナーレ、水都大阪などに参加。実施したプロジェクトは、地域の人々とのコラボレーションでありその地域に特有の形となっている。近年は子供たちとのワークショップを実施する機会も多く、2005 年からは各財団の助成によりワークショップの調査やプログラムの開発など行っている。      
要 旨: 2007年より研究室の学生たちと一緒にタイ・チェンマイ郊外のドイサケットで地域コミュニティと共同のアートプロジェクトを実施している。これまでに保育園の子どもたち、青果市場の人々、寺院の僧侶たちとコラボレーションでの制作を重ねており、今後も継続する予定である。今回の講演会ではこれまでのプロジェクトの経緯とこれからの展望についてお話ししたい。 

2010年12月24日金曜日

事務局より

 12月の講演会では、カンボジアにおける教育支援活動をテーマにお話しいただきました。カンボジアの歴史と現況についても分かりやすくご説明いただいたほか、子供たちが英語で演じる『桃太郎』のヴィデオ上映もあり、年末を飾るにふさわしい暖かく和やかな講演会になりました。
                    ******
 歴史文化交流フォーラムでは、本年も皆さま方の熱心なご支援を賜り、とどこおりなく事業を進めることができました。謹んで御礼申し上げます。
 皆さま、どうぞ朗らかな年の瀬をお過ごしになり、希望に満ちた晴朗な年明けをお迎えください。

2010年11月30日火曜日

第78回講演会

日付: 2010年12月18日(土)時間:16:00~18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階
内容: 「カンボジアの教育支援」
講 師プロフィール: 山岡 直子 氏(歴史文化交流フォーラム、アンコールやまなみファンド) 
  東京女子大学英米文学科卒。主婦業のかたわら長年朗読のボランティア活動を続けてきた。2005年7月、中学高校の同期の友人たちと、AYF(アンコールやまなみファンド)を立ち上げ、AYFの事務局をつとめている。
要旨: AYF(アンコールやまなみファンド)では、「カンボジアの子ども・若ものたちに教育支援を!アンコール遺跡保全につながる人材育成を!」ということを目的、目標にシェムリアップ近郊のクラウ村の子供たちに教育支援を続けてきた。今年の10月で設立してちょうど5年。この講演を機会に、カンボジアの教育の現状を再認識し、世界また日本からなされているさまざまな教育支援の実情を調べ、AYFの今後の活動の方向性を探っていきたいと考えている。

2010年11月28日日曜日

事務局より

 師走月がもう目前に迫っています。長い夏のあと、今年は瞬く間に秋が走り去ったような印象です。
 11月の講演会では3人のゲストスピーカーをお迎えし、日本とインドの交流史を中心にお話しいただきました。情報の少ない印僑の人々について、日本での聞き取り調査をもとにした具体的な内容にひきこまれ、講演時間があっという間に過ぎてしまいました。
 次回は、当フォーラムの活動の一環であるカンボジアの教育支援について、何度も現地に足を運ばれている講演者の方からお話を伺います。

2010年10月26日火曜日

第77回講演会

日付: 2010年11月6日(土)時間:16:00~18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階
内容: 総合タイトル「日印交流の歴史」
講 師プロフィール:
 ムケシュ・ウィリアムズ(Mukesh Williams)氏
 インド工科大学(IIT)博士課程修了後、デリー大学St. Stephens College教授などを経て、現在慶応大学と創価大学講師。専攻は日米印外交、インドの政治経済、メディアとアジアの安全保障で、詩人としても活躍し、Marquis Who’s Who in the World やWorld Poetry Directory UNESCO 2008にも選出。主な著書に、Representing India: Politics, Identities, and Literatures. Boloji.com http://www.boloji.com/writers/mukeshwilliams.htm
 
 寺本 羽衣(てらもと うい)氏
 ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院言語・文化学科南アジア地域研究科修士課程卒業。専攻は日本とインドの文化、教育、技術、経済交流。現在はウィリアムズ教授のもとで19世紀後半からの日印交流史を研究している。 ‘Indians in Japan’ Boloji.com
http://cms.boloji.com/index.cfm?md=Content&sd=Articles&ArticleID=7007

 岩田 紘行(いわた ひろゆき)氏  昭和42年~43年(1967-68年)に母校慶応義塾大学の「国際関係会」の交換学生としてインド・マドラス(現チェンナイ)のLoyola collegeへ1年間留学(遊学)。その関係から、現在(公益財団法人)日印協会の会員として参加すると共に、協会の活動、特に催事企画を担当。
要旨:
 ムケシュ・ウィリアムズ 氏
 テーマ:日本におけるインド人ディアスポラの歴史
 8世紀の菩提遷那の渡来から現在に至るまでの交流史の中でも、これまで取り上げられることの少なかった、知られざる日印交流史に焦点をあてる。17世紀ムガール帝国ダーラー・シーコー、19世紀後半の神戸・大阪、横浜のインド人商人、現在2万3千人にのぼるインド人コミュニティと日印間のビジネス交流など。
 寺本 羽衣 氏
 テーマ:日本におけるインド人ディアスポラとその研究手法紹介
 外交、技術、経済面でますます緊密になりつつある日本とインド。その日本とインドの交流史をひも解く重要性と研究にあたっての問題点を、自身のインド文化観を交えて紹介する。特に、近年重要視されてきた口述史の収集とその問題点、インタビュー手法、デジタル録音システムの使用とデータの保存法など。
 岩田 紘行 氏 
「写真で見る(財)日印協会と日印交流の歴史」 講演者が製作したナレーション入りのDVDを放映し、補足説明をしたい。内容は、「インドについて(一般的知識として)及び歴史、インドとの関係(今後の為に)」。

事務局より

 平地の紅葉にはまだ間があるようですが、街行く人の装いが深まりゆく秋を感じさせるようになりました。油断すると風邪を引きやすい季節、皆さまお気をつけください。
 前回の講演会では、現在は一般撮影が許されない地域を含む北朝鮮の貴重な写真をもとにお話しいただきました。王朝時代からの朝鮮半島の歴史を踏まえつつ、現代の南北分断国家の歴史的経験を、その相違を含めて考察していただきました。
 次回の講演会のテーマはインドです。皆さまのお出でをお待ちしております。

2010年10月12日火曜日

第76回講演会

日付: 2010年10月16日(土)時間:16:00~18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階
内容: 「共和国見聞記 -不真面目な日教組の目から見た朝鮮半島-」
講 師プロフィール: 澤野 理 氏(神奈川県高校教諭) 
 1962年,横浜市中区伊勢佐木町に生まれる。1987年,千葉大学文学部史学科卒業。 南塚理事長とは千葉大の同期生(もっとも、学生と先生という違いはあるのだが)。 大学では,合唱団に入団したことが縁でハンガリーの音楽史を研究する。1987年より 神奈川県立高等学校の教諭(世界史)となる。       
要旨: 東欧革命から2年、南北朝鮮の対話ムードが盛り上がっていた1991年、労働組合の紹介する北朝鮮ツアーがあり、身重の妻を残して新潟から船に乗って元山へ。そこで見たものは、…。現地で見聞した事に加え、当時(マニアの間で)話題になったポーランド映画のDVDも交えて、20年ぶりの報告をしたい。

事務局より

 冬隣まではまだ間のある秋、年間を通してもっとも過ごしやすい季節かと思います。紐解く書物にも、友と酌み交わす、あるいはひとり口に運ぶ酒にも、秋の夜長はなぜかひとしおの世の深みが感じられるような気がいたします。
 前回の講演会では、ロシア人留学生の方を講師にお迎えし、ロシア南部クラスノダール地方の民俗文化を中心にお話しいただきました。珍しい民芸品をお持ちいただいたほか、幼少時からバレエと民俗舞踊を習われていた講演者から直に指導を受けたり、実演を見せていただいたりと楽しいひと時を過ごしました。

2010年9月23日木曜日

第75回講演会

日付:2010年9月25日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「ロシアのクラスノダール地方の社会と文化」
講 師プロフィール:
 シュポト・エフゲニヤ(ジェーニャ) 氏(法政大学大学院)
 1984年、ロシアのクラスノダール市に生まれる。1990−2001年、同市の小・中・高校に通った。2001年−2006年、経済法律人文大学東洋学部日本研究学科で学んだ後、2006年同大学同学科の大学院に進学。2007年−2009年、東京外国語大学研究生。2009年、法政大学大学院国際文化研究科に入学して、現在は日露交流の研究を行っている。研究成果をいかし、将来は日露の青年交流の仕事に就きたいと考えている。趣味は旅行、ダンス、民俗舞踊(1996−2006年までダンス学校に通っていた)。東京外国語大学ではジャズダンスを、現在はサルサとタンゴにも挑戦している。
 要旨:
 クラスノダール地方はロシア南西部の、いわゆる北カフカースに位置しています。2014年に冬季オリンピックが開かれるロシア有数のリゾート地であるソチは、この地方の都市です。講演では、日本では情報の少ないクラスノダール地方の経済など現在の様子をはじめ、ロシア文化とは切っても切り離せない舞踊を中心に、同地方の民俗文化を紹介します。

2010年9月1日水曜日

事務局より

 長い夏休みのある学生時代が遠く過ぎ去っても、またたとえ暑さが苦手であっても、8月の終わりになると一抹の寂しさにとらわれてふと空を仰いだりした経験は、たいていのひとに覚えがあるのではないでしょうか。でも、今年のように永遠に続きそうな熱波には別の意味でため息が出ます。はたして、今年はクリスマスがやって来るのだろうかと真剣に疑いたくなります。
 それでも、もう9月。月例講演会も再開いたします。今月はロシアの民俗文化をめぐるお話です。暑さを無事に乗り切った皆さまの、お元気なご来場を楽しみにしております。

2010年7月21日水曜日

事務局より

 前回の講演会では、成瀬巳喜男監督による『あらくれ』と『放浪記』の映像を手がかりに、女性を主人公とした同作品が、男性の物語として特権化されてきた「放浪」の意味をいかにずらし、転倒しているのかを鋭く分析していただきました。昭和の懐かしい文芸映画に新たな光を当てていただき、まさに「目から鱗」の思いでした。また、講演終了後は、ジェンダー論の可能性をめぐって議論が盛り上がりました。
 8月は月例講演会はお休みをいただきます。次回の講演会は9月25日に予定しております。
 
 梅雨明け早々、日本列島全域が強烈な夏の陽光にさらされ、陽炎の立つような熱波にあえいでおります。皆さまにおかれましては、どうぞ夏の涼を求め味わいながらご自愛ください。

2010年7月2日金曜日

第74回講演会

日付:2010年7月3日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「放浪に男女の差はあるか」
講師プロフィール:
 藤瀬 恭子 氏(諏訪東京理科大学嘱託教授)
 1944年富山市生まれ。明治大学文学部英米文学科卒、同大大学院修士課程修了。明大非常勤講師等を経て、1990年新設の東京理科大諏訪短大講師、97年教授。2001年改組転換により諏訪東京理科大学共通教育センター教授。2010年3月定年退職。英語諸科目と「物語の力―映画と文学」を教えている。専門:シェイクスピアとエリザベス朝演劇を専門としていたがこの10年余、英語圏文学と日本近代文学を比較、カルチュラルスタディーズ的に映画を取りこんでジェンダー研究を展開。モダニズム詩人H・D研究を継続。08年より長野県茅野市男女共同参画講座・「女たち家族について考える会」を年6回開催。成瀬巳喜男映画をテキストとして昭和期の日本の家族制度と女たちの生き方について、社会人、研究者らとともに学習、討論を重ねている。 著訳書『男女両性具有I,II』『娘の心が傷つく時』(人文書院)『フロイトと人間の魂』(法政大学出版局)『ルネサンスの魔術師』(晶文社)共著『山姥たちの物語』(学芸書林)他。
 要旨:
 成瀬巳喜男・女たちの定住と放浪  
 成瀬巳喜男の映画は戦前戦中戦後日本の家族、嫁姑、親子、結婚、夫婦、金銭、職業をめぐってのジェンダー差が、50年の時間を隔てた遠近法の中で観察できるタイムカプセルです。『娘・妻・母』『稲妻』『おかあさん』『女の座』『鰯雲』『めし』『驟雨』では定住する女たち、『女が階段を上がる時』『流れる』では花柳界の女たち、『放浪記』『あらくれ』『浮雲』では放浪する女たちが描かれています。林芙美子原作『放浪記』『浮雲』、それに徳田秋声原作『あらくれ』に焦点を当て、女たちの定住と放浪について、映像を参照しながら語りたいと思います。

事務局より

 梅雨たけなわ、街も水底にあるようにけぶって見える今日この頃です。水底から輝く夏空にむけて、早く、そして元気に浮かび上がりたいものです。
 さて、前回の講演会は、インターネットの歴史と現在をめぐるお話しでした。日ごろ耳にしていながら正確な内容を知らずにいるカタカナ語の説明に始まり、手元のパソコンがどのような経路を経て任意のホームページにたどり着くのかなど、その場で実験をしながら興味深くお話しいただきました。
 次回は、成瀬巳喜男監督の映画を通して、女性の放浪について語っていただきます。

2010年5月28日金曜日

第73回講演会

日付:2010年6月5日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「NPO-IFの新ホーム・ページとインターネットの世界(基礎編+実用入門編 )」 

講師プロフィール: 
 鈴木 健太 氏(東京大学大学院博士課程、世界史研究所研究所) 
 名古屋市出身。専門は主にユーゴスラヴィアおよびセルビアの現代史。現在は所属の大学院で、旧ユーゴスラヴィア解体期のセルビア社会におけるナショナリズムに関する研究に取り組む。2006年10月から今年3月までの二年半、セルビアのベオグラード大学にセルビア共和国政府奨学生として留学。現在、世界史研究所研究員。歴史文化交流フォーラムのホームページ作成を担当。

要旨:
 実はもう間もなくNPO-IFのホーム・ページが新しくなります。今回はそのお披露目会といたしまして、新ホーム・ページの利用の仕方を分かりやすく紹介させていただきます。けれども、インターネットの時代と言われて久しい昨今、そもそもホームページって何のためにつくられて、またそれで何ができるんでしょうか? 鍵となるのは「情報」をいかに早く、的確に、利便に伝えるかという点です。講演では、インターネットの簡単な歴史を振り返りつつ、インターネットやホームページの使い方について、もう今さら人には聞けない質問を多数お引き受けいたします。

事務局より

 街角を早い紫陽花の花が彩り始めています。湿った季節の到来を前に、初夏の若々しい淀みのない日差しのなか、いかがお過ごしでしょう。
 さて、5月の講演会では、中東イスラーム社会におけるコーヒー飲料の習慣の開始から、欧州キリスト教社会への伝播とその社会思想史的影響、さらに現代の南北問題の一典型としてのコーヒー栽培まで、コーヒーという「もの」から世界を考えてみました。終了後、コーヒー以外にどのような「もの」を通して世界を語れるか、参加者の皆さんと議論しました。この議論を元に、「もの」を共通テーマに据えて、秋以降の講演会を予定しています。乞うご期待。

2010年5月1日土曜日

第72回講演会

日付:2010年5月8日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:第1部「コーヒーから見る世界」(木村真、木村英明)
   第2部 懇話会「もの」の 歴史と文化をめぐって(会員の皆さま) 
要旨:コーヒーは石油と同様に、その多くが途上国で採れ、先進国で消費されている。かつて奴隷労働や安価な移民労働力によって生産されたコーヒーは、ヨーロッパでは近代の賑やかなカフェ文化をもたらした。また、カフェは公論形成の空間としても機能することにより、フランス革命に代表される市民革命とも密接に結びついていた。講演では、コーヒーと人びとの関わりを歴史的、文化的に振り返ってみる。
 

事務局より

ヨーロッパ系の諸言語には広く「狂った4月」という言い回しがあるようです。不順な天候を指すようですが、今年の日本の4月はまさにその表現がぴったりです。5月は晴れやかな初夏を楽しめるといいのですが。
  前回の講演会は、昨年秋に始まった総合テーマ「旅」をめぐる連続講演の最終回でした。はじめに、歴史的、また社会的に大きな意味を持つ旅と言って差し支えないであろう「移民」について、詳細な資料を基にお話を伺い、ついで、一個人の日本人の旅としては第2次世界大戦後のパイオニア的な位置にある女性の、胸躍る痛快な冒険譚を楽しく拝聴しました。最終回にふさわしい充実した時間を過ごせたと思います。

2010年3月31日水曜日

第71回講演会

日付:2010年4月10日(土)時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:
 「 日本人の海外移民の150年――遥かなるラテンアメリカ日系社会への旅――」(広内俊夫氏)   
 「西方見聞録」(鳥山信子氏)

講師プロフィール:
 広内俊夫 氏(歴史文化交流フォーラム会員)
 大学で物理学を専攻。大手電機会社でコンピュータ開発に携わる傍ら、世界の歴史、地理、文化に興味を持つ。2004年5月退職し、同年7月にJICAの活動に参加。南米パラグアイで「移民史編纂」に携わる。2007年8月帰国後、元の会社で「社史編纂」を指導し、現在はNPO法人「シニアボランティア経験を活かす会」で、冊子「シニアの挑戦!国際協力の現場を語る」の編纂を行っている。

 鳥山信子 氏(歴史文化交流フォーラム会員)
 1935年、東京下町(向島)に生まれる。1644年、長野県丸子町(上田市)へ疎開し、高校卒業まで10年間を同地で過ごす。1959年~1965年、アストラ国際貿易(在ユーゴスラビア商社)に在職。東京オリンピック開催中はニュース原稿をセルボクロアチア語でテレックス送信した。1969年に欧州滞在から帰国し、ドレッサージャパンに勤務。1970年、東亜亜鉛海外質鉱山開発に従事。1977年から、バンコ・イスパノ・アメリカーノ(スペイン市中銀行)の在日駐在員事務所に入行し、東京支店秘書を務めた。

要旨:
 「日本人の海外移民の150年――遥かなるラテンアメリカ日系社会への旅――」 
 近代日本の海外移民は幕末・明治とともに始まり、ふたつの流れがあった。アジアとアメリカ大陸への移民である。この2つの流れは同時並行して興ったものである。アジアの移民社会は戦後崩壊したが、アメリカ大陸には豊な日系社会が成立した。近代日本の歴史は移民を抜きには語れない。 私は2004年から2007年にかけて3年間パラグアイに滞在し、その間ラテンアメリカ(7か国)を探訪する機会があり、各国の日系社会を見て回ることができた。講演では、近代日本がどのように海外へ進出していったか、移民から見た近代日本のあゆみと、ラテンアメリカ7か国の日系社会の昨今を紹介する。なお、今回の講演は、前回(2008年10月11日)に行った講演(日本人の海外移住140年とパラグアイ移住70年の歴史)の続編である。
 
 「西方見聞録」
 1964年4月に海外渡航が自由化され、1人年間500ドルの制限付洋行が認められた。この年に開催された東京オリンピックには94カ国が参加し、一気に海外との交流が促進された。同時に東海道新幹線も開業し、東京‐大阪間4時間という国内の旅が実現した。 1965年、極東の島国から、船、鉄道、空路を駆使して西方へと向かった「個人的な体験」を語り、スペイン滞在4年後、3ヶ月かけて帰国した東西見聞録を披瀝したい。
 

2010年2月10日水曜日

事務局より

 立春も過ぎ、寒暖の波が大きくうねりながら本格的な春へと進んでいく今日この頃、コートを脱いだり着たりとせわしくお過ごしのこととお察しします。
 さて、2月の講演会では、ブルガリアのロヴェチ県のふたつの村で10年あまりに渡ってフィールドワークを続けてこられた講演者の方から、村の物理的空間、そして家庭の景色がどのように変貌していったか、特に中高年女性の海外への移動労働に着目してお話しいただきました。日本を含め世界の諸地域で進行する家庭や社会の変化を考えるにあたっても、非常に示唆的な講演でした。
 3月は事務局の都合により、月例講演会はお休みをいただきます。次回講演会は4月3日(土)になります。

2010年1月25日月曜日

事務局より

 2月6日(土)はブルガリアに関する講演会に先立ち、午後4時から30分ほど、理事長の南塚信吾先生(法政大学教授)より、12月に訪問されたナイジェリアに関するお話を伺う予定になっています。どうぞお楽しみに。

第70回講演会

日付:2010年2月6日(土)
時間:16:00~18:00
場所:渋谷アイビスビル10階
内容:「ブルガリアの村びとたちの10年〜社会変化とそれぞれの模索 」 
講師プロフィール:
 松前 もゆる 氏(東京大学大学院総合文化研究科助教)
 福岡県出身。大学院在学中の1994年にブルガリア文部科学省奨学生としてソフィア大学へ留学。1996年から同国中北部のロヴェチ県で調査をはじめ、1997年秋から1999年初頭まで、「ポマク」と呼ばれるブルガリア語を母語とするムスリムとブルガリア正教徒、ロマが共に暮らす村などで集中的にフィールドワークをおこなう。近年は、そうした村々からの、とくに女性たちによる国外への出稼ぎに関心を持っている。共著、論文に、『世界の先住民族 第6巻 ヨーロッパ』(「ポマク」の章を担当、明石書店、2005年)、「ブ ルガリアの『色彩豊かな』村—ポマク女性の装いと暮らし—」『季刊民族学』126号、2008年など。
要旨:
 この20年のブルガリアの統計資料を眺めていると、人口の大幅な減少に気がつくかもしれません。1989年に899万人を数えた人口は、2008年には約760万人になっています。この国でも日本に負けず劣らずの少子化が指摘され、人口は自然減に転じていますが、もちろん、それだけが理由ではないと考えられます。ブルガリア政府の推計によれば、1990年から20年弱の間に、50〜70万人が長期的あるいは短期的に国外へ移住したそうです。
 このような諸外国への出稼ぎの増加は、私が10年以上前から調査を続けている山間の村でも実感できます。1990年代の調査時に私の話し相手になってくれた女性たちが、今、イタリアやギリシアで働いています。今回のお話では、こうした女性たちとその家族をはじめ、村のいくつかの家族(祖父母、両親、そして子どもたち)のこの10年ほどを追いながら、1990年代から2000年代のブルガリア社会を考えてみたいと思います。

2010年1月20日水曜日

フォーラム事務局より

 2010年幕開けの講演会は、「バレエ」と「イロコイ連邦」の二本立てでした。どちらも講演者のパトス溢れる熱いお話しでした。まずは、各時代、各地域におけるバレエのテーマや表現技法の相違を中心に、歴史的、社会的な角度からバレエに光を当てていただきました。次いで、11世紀北米に成立したイロコイ連邦の平和主義的かつ民主主義的な形態を事例に、ヨーロッパ中心主義的な「世界史」のあり方にたいして問題提起を突きつけていただきました。
 2月の講演会はブルガリアで10年以上に渡りフィールドワークを続けてきた講演者から、女性や家庭が体制変換後の社会でどのように変貌していったのか、お話して貰います。

2010年1月8日金曜日

フォーラム事務局より

 新玉の年を迎え、皆さまには日ごろのご厚情を謹んで感謝申し上げると同時に、お健やかで活発な一年をお祈り申し上げます。
 2000年代一桁は、それが人びとの暮らしに総体的に幸をもたらしたのかどうかはさておくとして、政治、経済、文化の幅広い領域でグローバル化が急激に進んだ時代であったように思います。たとえば、2001年にニューヨークのツインタワーに激突していった旅客機の映像は、われわれのその後の暮らしと決して無縁ではありえませんでした。当フォーラムでは、今後も各地域の「ヴァナキュラーなもの」に目を配りながら、グローバルな社会の意味を考えていきたいと思います。